まんじゅう形ご神事用ヒスイ石笛（Knobさん孔） [21I022]

大福餅のようなシンプルなKnobさん孔石笛です。
一目で小滝川産とわかる青味がかった緑色のヒスイということもあり、なるべくシンプルなご神事用石笛が欲しい方にお勧めです。
一般的な人工石笛の吹き孔は円柱状の断面ですが、天然物の石笛のように試験管状の丸底孔の石笛を開発して欲しいとディジュリドゥと石笛演奏家として著名なKnobさんの依頼で作り始めたKnobさん孔は、円柱状の孔と同じ寸法の場合は音域は若干狭くなりますが、音色は円やかになります。
量産品には真似できない流麗な曲線、模様が浮かび上がるような研磨、なによりプロの演奏に耐える音色と操作性がお愉しみ頂けます。

これまで広い音域を持つ楽曲演奏の可能な石笛を追求してきましたが、本来のご神事で奏上する石笛は、大本教の出口王仁三郎が伝えたように「磐笛は『ユーユー』と長く跡の音を引いて『幽』と云う音色を発生しせめるのが、第一等である」 (本教創世紀)ものであったようです。

一見して原石に孔を開けてあるだけのようですが、祭器としての石笛であるからには、勾玉なら三個〜五個作られるほどの大きなヒスイ原石の塊りから「石と対話しながら」石笛を削り出すようにカタチを作っていきますので、巷に溢れる孔を開けただけの石笛とは別物です。

つまり、ぬなかわヒスイ工房の石笛は、当初想い描いた基本デザインは保持しつつも、最後まで作り手である私自身がどんな石笛が出来上がるかが解らない状態で作っているのです。
その点では、極力、能動性や観念的な想いは避け、非常に受動的な作り方をしています。
このような石笛の作り方は非常に効率が悪いのですが、個人的には必然性を感じており、石を使った活花のように捉えております。

余談ですが、一般に流通している原石仕立ての石笛は、ハンマーで小割したヒスイ原石に若干の修正を加えてバレル研磨機という自動研磨の機械に放り込ん表面的な艶を付けてあるだけですので、原石表面は微細な痘痕状の肌荒れが残っています。
ぬなかわヒスイ工房の原石仕立ての石笛は、石笛として吹き易い形状に切削した上で平面研磨機で手作業の研磨をしていますので、バレル研磨機だけで仕上げた石笛に比べて光沢の奥行が感じられるはずです。

ぬなかわヒスイ工房の石笛は、プロ演奏家からのご注文も多いのですが、「息が吹き込みやすい形状・ビビリ音の排除・広い音域」というプロからのご要望は、すなわち初心者でも吹き易い石笛という考えを基本にしていますので、どなたにもお勧めできます。

音質の特徴
木枯らしを思わせる野太くも詫びた低音を基本としする。
音階変化は小器用として拒否するかのような腹に響く力強くストレートな音色。
シューという倍音と、ピューという倍音が同時に響く。
大きな音階変化を付けた楽曲演よりも、神事や一定の息の吹き込み方で長音を愉しむ奏法、呼吸法や音色自体を愛でる愉しみ方に向く。

基本キー；B６

音域；B5〜D７6（１オクターブ超え）

石質；堅牢緻密。生成時の熱水貫入による石目が目立つが糸魚川ヒスイらしさであり、模様の範囲。かえって神秘的な姿の味になっている
　　　
透光性;非常によい

色合；青緑色がかったパステル調の若草色に、青黒い流れ模様が入る

孔寸法；φ13×深さ23mm

＊市販の石笛の孔直径は通常８mm前後ですが、この石笛は13mmもありますので、竜笛や能管などの横笛経験者には吹き易い石笛と言えます