石なのに柔らかく、温かい。眼と掌に馴染んで何時までも観て、持っていたくなるモノを目指します!

縄文人(見習い)の糸魚川発!

人工石笛を造る意義は?・・・横澤和也との出会い

石笛を造り始めた時から、天然石笛があるのになぜ人工石笛を造る意味があるのかと、自問自答を続けていた。


天然石笛は滅多に佳いものと出会えないから吹きやすい人工石笛を造る?・・・否!それでは代替品でしかない。

なんか違うぞ・・・そんな問答を繰り返しながら出会ったのが、松尾芭蕉の造化(ぞうか)という言葉。

例えば天然自然の深山幽谷と枯山水庭園、野に咲く花と活花・・・。


それらは優劣を付けたり比較できるモノではなく、断じて代替品ではないのだ。

 


そんな想いで作品を造っていたが、先週末に横浜で開催された「遺跡オーガニックマルシェ」に石笛演奏家の大御所である横澤和也先生も出演者の一人として名を連ねていた。

私の石笛の代表作「珠玉」を吹く横澤和也さん


横澤さんは、カーネギーホールを始めとした海外の名だたるコンサートホールで石笛演奏会をしたこともある石笛の伝道師のようなお方で、もちろん愛用する石笛は天然石笛である。


いつか話す機会があれば人工石笛の是非を問うてみたいと思っていたが、今回は同じイベントに出演する訳だから話す機会もあるのでは?と多少は身構えていた。

ところが・・・人の紹介で会ってみたら意外にも柔和な方で、初対面で打ち解けてジックリと石笛談義ができた。

横で見ていた人は、古い付き合いの友達か親戚同士の会話のようだったそう。

松尾芭蕉の造化(ぞうか)という言葉の通り、天然石笛の代替品の人工石笛ではなく、在る自然から人為で産み出す自然、それが私の目指す石笛です等々を話した。

私のような無名の職人の話しにじっと耳を傾けていただいたのだが、話しの通りが実によく、大いに賛同して頂けた。

石笛を見せて欲しいと乞われたので、ぬなかわヒスイ工房のブースに案内して石笛を観て頂いたら、「貴方の石笛は天然石笛と言っていいですよ!」と嬉しい事を仰られ、これまで造った石笛の中で最も出来のいい「珠玉」を吹いて頂けた。

「いいなぁ、この石笛!これ、もらって帰っていい?」とお茶目な事を仰る横澤さん。


本当を言うと最初は「私は試し吹きしないんですよ。」と仰られておられたのだけど、私の石笛作品群を観るに付け、「これいいなぁ・・・ちょっと吹いてみましょうか!」という流れになって、次々と吹いていかれ、吹き終わった後に「これ、売らないの?」「非売品です」「いいなぁ・・・頂戴!」「ダメですっ!」という会話の最後に、「この石笛は売っちゃ駄目だし、人に触らせないほうがいいですよ・・・。」とまで仰られた。

銘「珠玉」・・・10月17日放送のEテレ「天才てれびくん」にもこの石笛は登場・・・NHKのデイレクターさんも一目で気に入ったようです。



横澤さんは、石笛仙人こと守山鷲声さんと同様に、音を探ることなく、いきなり全身全霊を籠めて石笛に息を吹き込んだ。

裂帛の気合の如くの石笛の音・・・。


何人たりとも、あの音を聴いて襟を正さずにはおられまい。


ヒトとヒスイのモノガタリ、新たなステージに入った瞬間。